西部戦線の英軍重砲
ベルギーの村の被害
廃墟を活用した通信壕
上 西部戦線の英軍重砲
中 ベルギーの村の被害
下 廃墟を活用した通信壕
(『欧州大戦写真帖』より)
 

カイゼン視点から見る

第一次世界大戦


A Review on World War I from Kaizen Aspect

第一次世界大戦の参考図書・資料

第一次世界大戦後の
日本の陸海軍 B 海軍各論

航行中の英艦隊
英軍の戦車
米軍の毒ガス対策
上 航行中の英艦隊
中 英軍の戦車
下 米軍の毒ガス対策
(『欧州大戦写真帳』より)
 
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カイゼン視点から見る日清戦争


第一次世界大戦後の日本の陸海軍 B 海軍各論

第一次世界大戦後の軍縮期の日本の陸海軍に関するもので、特定の主題について記述しているもののうち、海軍軍関係についてです。

すべて、本ウェブサイトの「日本が学ばなかった大戦の教訓 B 艦隊決戦より海上封鎖」のページで、要約引用を行っています。


小野塚知二 「戦間期海軍軍縮の戦術的前提 − 魚雷に注目して」
(横井勝彦 編著 『軍縮と武器移転の世界史
− 「軍縮下の軍拡」はなぜ起きたのか』 日本経済評論社 2014
の第5章として所収)

本論文を所収している『軍縮と武器移転の世界史』は、その副題が示す通り、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の、いわゆる「戦間期」中の軍縮・軍拡や武器の生産・取引などについての論文集であり、11の論文が集められています。

本論文は、その第5章として所収されているものであり、本論文の目的について、著者はその冒頭で、「兵器と戦術の変化によって戦艦・巡洋艦など砲撃を主たる攻撃力として敵艦隊に対峙する主力艦はすでに第一次大戦以前には戦術的に無意味な存在と変じていたのに対して、他方では主力艦はその後も長く ―第二次大戦直前までは― 大国の武力と国威を表現する手段として有効であり続けたことを明らかにすること」と記しています。

いわゆる「大艦巨砲主義」は第一次世界大戦までに「軍事的な幻想」になっていたのだが、戦艦には「偶像的な意味」が与えられ、第一次大戦後も各国で「新造のためにそれなりの予算が割かれた」、しかし実際に「戦術的にはすでに意味を失っている」ので、第二次大戦の実戦が始まると、戦艦の建艦は「見向きもされない存在へ急変した」というのが本論文の論旨です。

本論文は、日本海軍を対象に限っているものではありませんが、第一次世界大戦後の海軍が主題として扱われていますので、この項に入れました。

本論文の著者は経済史家ですが、19世紀後半から第一次世界大戦を経て軍縮期に至るまでの海軍兵器の発達史について、非常に分かりやすい整理が行われている点に、本論文の大きな価値があると思います。


熊谷直 『日本海軍はなぜ敗れたのか
− 連合艦隊誕生から敗戦までの軌跡』 徳間書店 2010

熊谷直 日本海軍はなぜ敗れたのか 表紙 写真

著者は防衛大学卒業後は航空自衛官、その後防衛大学校助教授、防衛研究所戦史部所員、統合幕僚学校教官、などの経歴を持つ軍事史家です。

「日本海軍の戦略・戦術を、海軍大学校の教育を中心に据えて、海戦要務令や関係者の思想にふれながら歴史的に検証し、それが太平洋での対米戦にどのように影響をしたのかを考え」るのが、本書の狙いとされています(本書第1章)。

したがって、時系列的には、明治初期の創建から昭和前期の太平洋戦争での敗北までが扱われていますが、いわゆる海軍通史ではなく、海軍戦略戦術思想史、海軍教育史の分野に焦点をあてた内容となっています。この点に本書の価値があります。

ただし本書は、研究書的であるよりは、読み物的で読みやすい記述となっています。

本書の「あとがき」で、著者は、日本が対米戦に負けたのは、国力がなかったことのほかに、「組織と社会の問題があったということも大きかった」、「日本人が好きな『波風を避ける』生き方が、政策を決めるときも、議論とリーダーシップを排除して慣例・伝統に従って判断・行動する道を選ばせることが多かった」と述べ、「この問題は今でも解決されているとはいえない」と指摘しています。慧眼であると思います。


半藤一利・保坂正康 『総点検・日本海軍と昭和史』 毎日新聞社 2014

半藤一利・保坂正康 総点検・日本海軍と昭和史 表紙 写真

本書は、「小柳資料」の内容がテーマです。「小柳資料」とは、1956〜61年に、小柳富治(元海軍中将)が、当時存命だった旧海軍の将官クラス47人に聞き取りをした証言記録であり、2010年に水交社から、『帝国海軍 提督達の遺稿 小柳資料』(上・下)として公刊されました。

証言者の中には、島田繁太郎(太平洋戦争開戦時の海軍大臣)・石川信吾(開戦時の軍務局第二課長で対米強硬派)なども入っており、また2010年に公刊されてようやく日の目を見た資料なので、いわば価値ある新資料と言えます。

本書は、この小柳資料に基づいて、昭和史研究の大家二人の対談で、日本海軍史の再検証を行ったもの。書名には「昭和史」とありますが、証言者の一部には日露戦争の経験者もおり、本書の内容も日露戦争から始まっています。

本ウェブサイトが対象としている、第一次世界大戦から戦間期の、条約派対艦隊派の争いも、本書中に取り上げられています。もちろん、大変に興味深い面白い本になっています。


次は、本ウェブサイトの最後になりますが、日本軍人の中で、第一次世界大戦の教訓を最も的確に学びとった一人であった、水野広徳の著作や評伝についてです。


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