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ベルギーの村の被害
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(『欧州大戦写真帖』より)
 

カイゼン視点から見る

第一次世界大戦


A Review on World War I from Kaizen Aspect

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カイゼン視点という手法

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「カイゼン視点から歴史を見る」とは、具体的にどのようなアプローチで歴史を見ることなのか、その手法を説明いたします。


カイゼン視点から見るときの具体的な作業

「カイゼン視点から歴史を見る」とは、具体的な歴史の事実について、以下の流れで作業を行うことになります。

  1. 事実の確認
  2. 目的設定の妥当性の確認
  3. 目的と手段の整合性の確認
  4. 効率性の確認
  5. 課題の発見と対策の立案

以下、もう少し詳しく説明いたします。

まずは、@事実の確認

当時の状況と、そこでとられた方策の目的や、方策実施の経過を含め、何が事実であったのかを確認します。正しい事実に基づかなければ、適切な判断は行えません。具体的には、できるだけ典拠が明示されている研究書に依り、とくに事実についての記述を確認します。必要があれば、挙げられている典拠にまでさかのぼって、確認を行います。

次に、A目的設定の妥当性の確認

目的や目標の設定が、その当時の状況に照らして適切なものだった、と言えるかどうかを検討します。状況に照らして適切な目的・目標の設定を行うことは、状況へのカイゼンを生み出すための基本的なステップです。もしも、状況に対して適切とは言えない目的や目標が設定されていたなら、その目的等が達成されても状況はあまりカイゼンできないか、あるいは、その目的等が達成される可能性が低くならざるを得ないので、カイゼン視点からは、適切な目的設定ではなかった、と評価することになります。

表面上で説明されているタテマエとしての目的と、説明はないものの本質として意識されているホンネの目的が異なっていることは、政治や官僚機構の世界ではよくあることです。可能な限り、ホンネの目的を検討するようにしています。

なお、設定されている目的・目標そのものについて、特定の価値判断からその善悪を論じることはしていません。現代の一般的な価値判断と、当時の一般的な価値判断が異なっていることは、ありえることだからです。

他方、設定されている目標等から結果として生じうるリスクや影響は論じています。言い換えれば、「善悪」を論じず、「損得」を論じる、と理解いただいて結構です。リスク判断の結果、より大きな「得」が得られるものがより適切な設定であり、より大きな「損」が生じるものはより不適切な設定である、という判断となります。

例えば、「植民地の保有」は、第一次世界大戦当時の強国はどこも行っていたことであり、植民地を保有し拡大することの善悪については、論じません。しかし、例えば植民地の拡大をめざす政策の結果として、列国との対立や、進出先の反日感情の昂進など、明らかなリスクや影響が生じることは、論じます。

そして、B目的と手段の整合性の確認

そのとき行われた行動や対策(すなわち手段)について、選択は適切であったか、設定された目的との整合性が十分であったかどうか、他により適切な手段は考えられなかったか、などを検討します。設定された目的・目標に対し手段が適切であれば、それだけカイゼン達成の可能性が高くなります。他方、目的の設定は適切でも、とられた手段・対策が必ずしも適切ではなかった、という状況もしばしば発生することです。

なお、目的・目標と同様、手段の選択についても、善悪を論じることはしていません。例えば、「戦争」は、その善悪は別にして、国際紛争を解決しようとして採用される手段の一つであることは間違いありませんので、戦争という手段を選択すること自体が悪である、というような議論は行いません。

ただし、戦争という手段の選択が、その時点の紛争を解決する手段として十分に適切であったかどうか、他により適切な手段はなかったか、あるいは戦争という手段を採用した結果生じるリスクや影響等については、検討を行います。目的の設定や手段の選択について、特定の価値判断から善悪を論じることは、このサイトの目的ではありません。

さらに、C効率性の確認

そのときの行動や対策の結果は、本来の目的・目標に対し、成功であったと言えるのか、あるいは成功はしていても、効率が悪かったりしたことはないか、を検討します。成功していなかった、成功はしていても効率は悪かった、ということであれば、目的・目標の設定や手段の選択が適切とは言えなかった可能性があるほか、たとえ手段の選択までは適切であっても、手段の実行面でカイゼンの余地が存在していた、ということになります。

そして、D課題の発見と対策の立案

AからCの検討を通じて、当時のその状況では、どういう目的・目標の設定や、どのような対策行動が、より適切あるいは妥当であったと思われるか、あるいは行動を通じて新たに生じた課題は何であったのか、などを検討します。すなわち、生じた結果に対しさらに追加のカイゼンを検討することになります。


出発点である事実確認の重要性

上記@の事実確認は、全体の出発点として、非常に重要な作業です。事実に反する、あるいは事実を十分に踏まえない理解に基づいて課題や対策を考えても、カイゼンには何も意味を持ちません。勝手な思い込みからは、誤った判断しか生じません。

その点から、このウェブサイトでは、事実はどうであったのかを追及・整理したすぐれた研究書の内容を理解することに重点を置いています。またそのさいに、単に言葉の上だけではなく、地図や写真、統計資料など、当時の状況を視覚的・定量的にも理解できるような手段を、できるだけ活用しています。


一般的な歴史研究書との相違点

上記のカイゼン手法を適用した作業を行って、歴史的事実について考察する、というのがこのウェブサイトの手法となっています。一般的な歴史研究書とは、どこに大きな相違があるのでしょうか。

通常の歴史書の記述

通常の歴史書の記述は、きわめて単純化していえば、下記のような記述が一般的であるように思います。

「状況」の中で、「政策」が実行され、「結果」が生じた。
(「政策」を行う「目的」に対しては、十分な記述がない場合がある。)

もちろん、「状況」・「政策」・「結果」については、その内容の事実が追及されています。

カイゼン視点からの分析

カイゼン視点からは、「状況」の中で、「政策(手段)」が採用されるにあたっては、どういう「目的」があったのかが、重要です。これも図式化しますと、下記になります。

「状況」の中で、「目的」のために、「政策(手段)」が実行され、「結果」が生じた。

一般的な歴史書と比べると、「目的」にこだわります。そしてカイゼン視点では、「目的」が「状況」に対して適切なものであったのかどうか、適切とは言えない場合にはどのような目的設定がより適切であったかを検討します。さらに、「目的」と「手段」とを対比して、「手段」は「目的」に対し適切なものであったのかどうか、適切とは言えない場合にはどのような手段選択が適切であったかを検討します。

一般的な歴史書と比べると、かなり異なった視点で歴史の事実を考察している、と言えるように思いますが、いかがでしょうか。


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